「nobuさんって、自分の話すること多いですよね」
若い頃、従業員からそんなことを言われたことがあります。言われてみれば、心当たりはありました。従業員が何か話してくれたときも、「分かる。俺も昔さ……」「それで思い出したけど、俺の場合は……」と、気づけば自分の話になってた気がします。
当時はまだ若かったし、悪気があったわけではありません。むしろ、せっかく話してくれているんだから会話を盛り上げたい、楽しく話したいという気持ちのほうが強かったと思います。自分の経験を話すことで、相手に「分かるよ」と伝えたかった部分もありました。
でも、今になって振り返ると、もう少し相手のことを聞いてもよかったなと思います。
自分の経験を話す前に、相手が話してくれたことにもう少し興味を持って、その続きを聞いてみる。好きなことや最近あったこと、仕事とは関係のない話でも、そこから会話を広げていけば、その人のことをもっと知れたかもしれません。
会話を盛り上げることばかり考えず、相手が話したいことをもう少し聞いてみる。今なら、そんな時間も大切だったと感じます。
店長になると、従業員と話す機会はたくさんあります。でも、話す回数が多いからといって、相手のことをよく知っているとは限らないんですよね。
当時の僕は、「何を話そう」「どうやって盛り上げよう」と考えることのほうが多かった気がします。今なら、それよりも「この人はどんな人なんだろう」と興味を持って、もっと話を聞いてみたい。
自分が話すこともコミュニケーションだし、相手の話を聞くこともコミュニケーションです。どちらかが正解という話ではありません。
ただ、若い頃の僕には、ちょっとだけ「聞く」が足りなかったのかもしれません。
そして、こんな話を書きながら思います。
結局、今回もずっと自分の話をしています。
……やっぱり、あんまり変わってないのかもしれません。


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