従業員の健康診断、できていますか?飲食店でまず確認したいこと

労災・健康管理

こんにちは、nobuです。

アルバイトにも健康診断って必要なの?

飲食店ではアルバイトやパートが多く、健康診断は正社員だけでいいのでは、と思うこともあるかもしれません。私自身、飲食店の運営に携わっていたころは、日々の営業や売上に意識が向き、従業員の健康管理まで十分に考えられていませんでした。

でも、従業員を大切にするのであれば、必要な人がきちんと健康診断を受けられる体制を整えることも、店や会社の大切な役割ではないでしょうか。今回は、飲食店・飲食企業が知っておきたい健康診断について、誰が対象になるのか、いつ受けるのか、受けた後はどうするのかを分かりやすく整理します。

小さな飲食店でも健康診断は必要になる

労働安全衛生法第66条では、事業者に対して、労働者への健康診断を実施することを義務づけられていて、また具体的な対象者や実施時期などは、労働安全衛生規則で決められています。

ここで大切なのは、店の大きさだけで判断しないことです。従業員が数人しかいないから健康診断はいらない、アルバイトだから対象外、と決まっているわけではありません。

まずは、自分のお店や会社で働いている人の中に、健康診断の対象になる人がいないか確認するところから始めましょう。

健康診断はいつ受けてもらう?

飲食店でまず知っておきたいのが、雇入れ時の健康診断と定期健康診断です。労働安全衛生規則第43条では、一定の条件に当てはまる労働者を雇い入れるときに、原則として健康診断を実施することが定められています。

法律では対象者を「常時使用する労働者」と表現しています。簡単にいうと、継続して働いてもらう人のうち、一定の条件に当てはまる人です。

さらに、同規則第44条では、対象となる労働者について、1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を行う必要があります。まずは、採用するときと、その後1年以内ごとに1回の健康診断がある、と押さえておけばよいでしょう。

アルバイト・パートは誰が対象になる?

アルバイトやパートだからといって、健康診断が一律に不要になるわけではありません。確認するときのポイントは、大きく2つです。

① どのくらいの期間働く予定なのか

期間の定めなく雇用している人や、1年以上雇用する予定の人などが対象になります。

② 週に何時間働く契約なのか

雇用期間の条件を満たしたうえで、1週間の所定労働時間が、同じような仕事をする通常の労働者の4分の3以上であれば、健康診断を実施する必要があります。

所定労働時間とは、雇用契約などであらかじめ決めている労働時間のことです。たとえば、同じ仕事をする通常の労働者の所定労働時間が週40時間なら、その4分の3は週30時間になります。

ただし、週30時間以上なら必ず対象になる、と労働時間だけで判断するわけではありません。雇用期間についての条件も一緒に確認する必要があります。

また、4分の3未満でも、雇用期間の条件を満たし、1週間の所定労働時間がおおむね2分の1以上であれば、健康診断を実施することが望ましいとされています。

大切なのは、正社員かアルバイトかだけで決めないこと。どのくらいの期間働く予定なのか、週に何時間働く契約なのかを確認して判断します。

22時以降に働く授業員がいる店はもう一つ確認

居酒屋など深夜まで営業する店では、もう一つ確認しておきたい健康診断があります。

労働安全衛生規則第45条では、深夜業を含む一定の業務に常時従事する労働者について、その業務への配置替えの際と、6か月以内ごとに1回、健康診断を行うことが定められています。

ただし、一度でも22時を過ぎて働いたら、半年ごとの健康診断が必要になるわけではありません。深夜まで営業しているお店や会社では、年1回の健康診断だけでなく、深夜業を含む業務に常時従事する従業員がいないかも確認しておきたいところです。

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健康診断の費用は誰が払う?

健康診断では、「健康診断にかかる費用」と「受診している時間の賃金」を分けて考えると分かりやすくなります。まず、法律で店や会社に実施が義務づけられている健康診断の費用は、店や会社が負担します。対象となる従業員に受診してもらい、その健診費用を本人に負担してもらうことはできません。

一方で健康診断を受けている時間の賃金は別の話です。一般健康診断の場合、その時間の賃金を支払うかどうかは、労使で話し合って決めるものとされています。ただし、厚生労働省は、従業員が健康診断を受けやすくするためにも、店や会社が賃金を支払うことが望ましいとしています。

つまり、健診費用は店や会社が負担する。受診している時間の賃金は別に考える。この2つを分けて覚えておくと分かりやすいのではないでしょうか。

健康診断は受けてもらったら終わりではない

健康診断は、従業員に受けてもらえば終わりではありません。店や会社では、その結果を働く人の健康管理につなげていく必要があります。

健康診断を実施する → 結果を記録する → 本人へ知らせる → 必要があれば医師などの意見を聴く → 働き方について必要な対応を考える

健康診断で健康上の問題が見つかった場合には、医師などの意見を聴きます。その結果、必要があれば、労働時間を短くしたり、担当する仕事を変更したりするなど、働き方を見直す場合もあります。

健康診断は、法律を守るためだけに行うものではなく、働く人の健康状態を確認し、必要に応じて働き方を考えるきっかけにもなります。

健康診断を受けられる体制をつくろう

まずは、自分のお店や会社に健康診断の対象となる従業員がいるか確認してみましょう。確認したいのは、主に次の3つです。

・どのくらいの期間働く予定なのか
・週の所定労働時間はどのくらいか
・深夜勤務をしているか

対象となる人が分かったら、雇入れ時の健康診断を実施しているか、前回の定期健康診断からどのくらい経っているかを確認します。そのうえで、対象者の把握、受診時期の管理、受診方法の案内、受診後の対応まで流れを決めておけば、従業員本人に任せきりになりません。

私自身、飲食店の運営に携わっていたころは、日々の営業や売上に意識が向き、働く人の健康管理まで考えられていませんでした。当時の自分に伝えるなら、小さい店だから関係ないと決める前に、まず対象になる従業員がいないか確認しよう、と言いたいです。

今なら、健康診断を本人任せにするのではなく、必要な人がきちんと受けられる仕組みをつくります。働く人が健康に働き続けられる環境を整えることも、ヒトを大事にする店づくりの一つだと思っています。

なお、健康診断の対象になるかどうかは、雇用期間や労働時間などによって判断が変わります。対象になるか迷った場合は、労働局や労働基準監督署などに確認しましょう。

参考にした公的情報

この記事は、以下の法令・公的情報をもとに作成しています。

・労働安全衛生法
第66条 健康診断
第66条の3 健康診断の結果の記録
第66条の4 健康診断の結果についての医師等からの意見聴取
第66条の5 健康診断実施後の措置
第66条の6 健康診断の結果の通知

・労働安全衛生規則
第43条 雇入時の健康診断
第44条 定期健康診断
第45条 特定業務従事者の健康診断

・厚生労働省「短時間労働者に係る労働条件の確保・改善について」

・厚生労働省「健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか?」

※法令・公的情報は2026年10月時点の内容を確認しています。

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