こんにちは、nobuです。
従業員から「妊娠しました」と報告を受けたら、店長や会社は何をすればいいのか把握していますか?
飲食業時代、私の店にも妊娠しながら働いてくれた従業員が数名いました。当時の経験と、現在の労務の仕事を通して学んだことを振り返りながら、妊娠の報告を受けたときの基本的な流れを整理していきます。
まずは本人と話すこと。今の働き方を確認し、必要に応じてシフトや仕事内容を見直す。同時に、店や会社も少しずつ引き継ぎの準備を始めていきましょう。
1.妊娠の報告を受けたら、まず本人と話す
従業員から妊娠の報告を受けたら、まずは本人とこれからの働き方についてお互いの考えを確認しておきます。
飲食店では、長時間の立ち仕事や重い物を運ぶ作業、夜遅くまでの勤務などがあります。これまで問題なく担当していた仕事でも、妊娠によって負担になることが多くなることが考えられますよね。
現在の仕事内容やシフトを確認し、働くうえで困っていることがないか、本人の話を聞くところから始めてください。
飲食業時代、私の店では妊娠した従業員が臨月近くまで現場で働いてくれました。本人も元気に働いていたため、当時は話をしながらシフトに入ってもらっていました。ただ、現在の労務の仕事を通して振り返ると、本人が働けると言っていることだけで判断するのではなく、店や会社として確認しておくべきルールがあります。
また、妊娠したからといって、お店や会社の判断だけで一方的にシフトを減らしたり、仕事から外したりすればよいわけではありません。妊娠や出産などを理由とした解雇その他の不利益な取扱いは、男女雇用機会均等法で禁止されているので忘れずに覚えておいてください。
妊娠したからこうすると決めつけず、まず本人の話を聞く。そのうえで、店や会社、従業員双方が今の働き方に問題がないか確認し合うことが大切です。
2.今の働き方に問題がないか確認する
本人と話をしたら、次は現在の働き方を確認します。
特に飲食業では、シフト勤務や深夜営業、立ち仕事、重い物を扱う作業などがあります。妊娠前と同じ働き方をそのまま続けるのではなく、一度仕事内容を確認しておきたいところですね。
健康診査を受ける時間を確保する
妊娠すると、定期的に健康診査などを受ける必要があります。男女雇用機会均等法第12条では、事業主は、妊産婦が保健指導や健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにしなければならないとされている為です。
厚生労働省では、妊娠中の健康診査について、通常は次の回数を示しています。
・妊娠23週までは4週間に1回
・妊娠24週から35週までは2週間に1回
・妊娠36週以後、出産までは1週間に1回
医師などから異なる指示があった場合には、その指示に従います。この頻度については覚える必要はありませんが、妊娠した際は様々な理由で病院に行かなければならないことは、管理するものとして頭にいれておくことは忘れないでください。
シフト勤務が中心の飲食店では、健康診査の日と勤務日が重なることもあるので、通院が必要になることも考えながら、本人と相談してシフトを組んでいきましょう。
医師などから指導を受けていないか確認する
健康診査などで、医師や助産師から働き方について指導を受ける場合があります。男女雇用機会均等法第13条では、女性労働者が医師などから指導を受けた場合、その内容を守ることができるよう、事業主に必要な措置を講じることを求めている為です。
たとえば、勤務時間の変更や短縮、休憩時間の延長、休憩回数の増加、作業の制限、休業などです。医師などから受けた指導内容を会社へ伝えるために、「母性健康管理指導事項連絡カード」を利用する方法もあります。
飲食店であれば、長時間の立ち仕事を続けて問題ないか、休憩を増やす必要はないか、担当する仕事を変えた方がよいかなど、実際の仕事内容と照らし合わせて考えることになります。
本人の体調だけで判断せず、医師などから指導を受けている場合は、その内容を確認したうえで対応しましょう。
残業・休日労働・深夜シフトを確認する
飲食店では、忙しい日に残業をお願いしたり、閉店作業で勤務が夜遅くなったりすることがありますよね。労働基準法第66条では、妊産婦から請求があった場合、使用者は時間外労働、休日労働、深夜業をさせてはならないと定めています。※深夜業とは、午後10時から午前5時までの労働です。
妊娠したら自動的にすべての残業や深夜勤務が禁止されるわけではありませんが、本人から残業減らしてほしい、深夜は働けないなどの請求があった場合には、店や会社として対応する必要があります。
これまで閉店作業まで担当していたからと、そのまま同じシフトを続けるのではなく、本人の希望も確認しておきましょう。
重い物を扱っていないか確認する
飲食店では、食材や飲料のケースなど、重い物を運ぶ場面など重量物を運ぶ業務もあるのではないでしょうか。
労働基準法第64条の3では、妊産婦を重量物を取り扱う業務など、妊娠・出産などに有害な一定の業務に就かせることを禁止していて、具体的な対象業務については、女性労働基準規則で定められています。
本人が大丈夫だと話している場合でも、それだけで判断せず、普段の仕事内容を店や会社として確認しておきましょう。
従業員本人の判断だけに任せるのではなく、安全に働けるよう店や会社から声をかける。そうした姿勢が、従業員にとって安心して相談できる環境につながるのではないかと、私は考えています。
3.必要ならシフトや仕事内容を見直す
現在の働き方を確認したら、必要に応じて実際の勤務を見直します。医師などから指導を受けている場合には、その内容に応じて勤務時間や休憩、仕事内容などを調整します。本人から残業や深夜業を避けたいという請求があれば、それに対応したシフトを考えなければなりません。
重い物を扱う作業についても、法律上の制限に該当しないか確認が必要です。
大切なのは、妊娠したからすべての仕事を外す、あるいは本人が大丈夫だと言っているから今までどおりにする、と一方的に決めないこと。
本人の状況を確認しながら、必要な対応を一つずつ考えていきましょう。
4.早めに引き継ぎを始める
従業員本人への対応と並行して、お店や会社側も少しずつ準備を始めます。
私の店で妊娠した従業員は、大きな戦力になっていた人もいました。そのため、いずれ現場を離れることを考えると、後を任せられる人を育てる必要があるのです。
しかし、人は今日教えて、明日から同じように仕事ができるわけではありません。日々の営業を回しながら仕事を教え、少しずつ任せる範囲を広げていくには時間がかかります。引き継ぎが十分にできないまま担当者が現場を離れると、これまで提供できていたサービスの質を維持できなくなることも考えられます。
今振り返ると、妊娠した従業員への対応と、店の体制を整えることは別々の話ではなかったと思います。その従業員だけが担当している仕事はないか。ほかの人に引き継げるようになっているか。業務を分担できないか。
本人が安心して働ける環境を考えながら、お店や会社も少しずつ準備を進めておくことが大切です。
妊娠の報告を受けたら、一つずつ準備していこう
妊娠の報告を受けたときに、最初からすべてを決める必要はありません。
まず本人と話す→今の働き方を確認する→必要ならシフトや仕事内容を見直す→そして、お店や会社も早めに引き継ぎを始める。
この順番で一つずつ考えていけば、何をすればよいのか整理しやすくなりますし、その後には、産前産後休業や育児休業、社会保険、雇用保険などの手続きも出てきます。※それらについては、別の記事で整理する機会があればお伝えしようかと思います。
まずは目の前で働いている従業員と話をする。そこから、店や会社として必要な準備を始めていきましょうね。


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