飲食店の長時間労働を防ぐには?健康管理と現場でできる改善策

労災・健康管理

こんにちは、nobuです。

朝から仕込みをして、ランチ営業、ディナー営業、閉店作業。気づけば一日中お店にいる、こんな働き方になっている店長や社員の方はたくさんいるのではないでしょうか。

人手が足りないと、特定の人に仕事が集中してしまうことがありますが、そんな働き方が続けば、従業員の健康にも影響しかねません。

今回は働く人を大切にする、長時間労働から従業員の健康を守るためのルールと、飲食現場でできる改善策を紹介しますので、是非長く働ける環境づくりの参考にしてみてくださいね。

飲食店で長時間労働が起こるのはなぜ?

飲食店の仕事は、営業時間だけではありません。開店前の仕込みや清掃、営業中の調理・接客、閉店後の片付けなど、さまざまな業務があります。店長や社員であれば、発注やシフト作成、売上管理、従業員教育なども担当するでしょう。

特に人手が不足しているお店では、店長や一部の社員に仕事が集中することがあります。

例えば、朝から仕込みを担当した社員が、そのままランチとディナーの営業に入り、閉店作業まで行うケースです。営業の合間に休憩を取れていても、拘束時間が長くなり、十分な休息を確保しにくくなることがあります。

長時間労働が続くと、疲労が蓄積し、睡眠時間も不足しがちです。長時間労働は、脳や心臓の病気や心の健康への影響にも注意が必要とされています。残業代を正しく支払っていれば、それで問題が解決するわけではありません。働いた時間に対する賃金の支払いと、従業員の健康を守ることは、どちらも会社にとって大切な責任です。

長時間労働から従業員の健康を守るためのルール

長時間労働を防ぐために、会社が押さえておきたい法律上のルールがあるので確認してみましょう。

労働時間には上限がある

労働基準法では、原則として1日8時間、1週間40時間を法定労働時間としています。

これを超えて働いてもらう場合には、原則として36協定という労使間の取り決めを結び、労働基準監督署へ届け出る必要があります。また、時間外労働には法律上の上限も設けられています。

36協定を結んでいれば、何時間でも働いてもらえるわけではないことに注意してください。

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実際に働いた時間を把握する

労働安全衛生法第66条の8の3では、会社に対して、従業員の労働時間の状況を把握することを義務づけています。

例えば、シフト表では22時までの勤務でも、閉店後の清掃やレジ締めで22時30分まで働いている場合があります。予定されたシフトだけを見るのではなく、実際の勤務状況を確認することが大切です。

また、この健康管理のための把握義務は、労働基準法上の管理監督者にも及びます。店長だから健康管理の対象外になるわけではありません。

長時間働く従業員には、医師による面接指導が必要になることも

労働安全衛生法では、長時間働いている従業員に対し、一定の条件で医師による面接指導を行うことも定められています。

一般の労働者については、休憩時間を除き、週40時間を超えて働いた時間が1か月で80時間を超え、疲労の蓄積が認められる従業員から申出があった場合、会社は原則として医師による面接指導を実施する必要があります。

また、この計算による時間が月80時間を超えた従業員には、その超えた時間に関する情報を通知しなければなりません。

面接指導を行った後も、会社は医師の意見を聴き、必要に応じて労働時間の短縮や業務内容の変更など、健康を守るための措置を講じる必要があります。

なお、月80時間という数字は、健康管理のための面接指導に関する基準です。36協定の時間外労働の上限とは別のものなので、混同しないようにしましょう。

さらに、労働契約法第5条では、会社に対して、従業員が安全に働けるよう必要な配慮をすることを求めています。これを「安全配慮義務」といいます。

面接指導は個人で経営されている飲食店や規模の小さい飲食会社等はなかなか行われていない現状です。ですが、従業員から体調不良の相談があった場合などには、勤務状況を確認し、必要な対応を考えることは頭に入れておきたいものですね。

長時間労働を減らすために、お店ができること

法律上のルールを守ることはもちろん、長時間労働を減らすためには、日々の仕事の進め方を見直すことも必要です。

ここでは、私自身の飲食現場での経験も交えながら、改善策を考えてみます。

仕込みやピークタイムの仕事を分担する

以前、私が関わりのあった居酒屋では、仕込みを専任で担当する従業員がいました。

また、私が経営していたお店では、昼時の忙しい時間帯に合わせて、11時から14時まで働く従業員んを配置していました。当時は人手を補うことが目的でしたが、今振り返ると、時間帯に合わせて仕事を分担する考え方は、長時間労働を減らすうえでも参考になると感じます。

例えば、社員が朝から仕込みをして、そのまま営業に入り、閉店まで働いている場合、仕込みの一部をほかの従業員に任せる方法が考えられます。また、忙しい時間帯に必要な人数を確保できれば、店長や社員がすべての営業時間を通して現場に入り続ける必要性を減らせるかもしれません。

すべての仕事を店長や社員が担当するのではなく、どの時間帯に、どの仕事を、誰が担当するのか。そこから働き方を見直せると思います。もちろん、人員を増やせば必ず改善するわけではありません。人件費や教育にかかる時間も考えながら、お店の状況に合った方法を選ぶことが大切です。

店長がすべての仕事を抱え込まない

店長が仕込みや調理、接客だけでなく、発注、シフト作成、売上管理、従業員教育まで担当し多くの業務がありますよね。もちろん、店長が現場に入ること自体は悪いことではありません。ただ、目の前の仕事に追われて、従業員教育や店舗運営の改善が後回しになってしまう状態は、見直す余地があると思います。

例えば、発注や仕込みの一部をほかの従業員に任せられるようになれば、店長はシフト管理や従業員教育に時間を使いやすくなります。そのためには、仕事を任せるだけでなく、担当する従業員への教育や、誰でも確認できる作業手順を整えることも必要です。

大切なのは、店長が現場に入らないことではなく、従業員教育や店舗運営の改善など、店長として必要な仕事に取り組める時間を確保することです。

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休息時間も考えてシフトを組む

働く時間を減らすことに加えて、勤務と勤務の間に十分な休息時間を確保することも大切です。

例えば、閉店作業が23時に終わった従業員が、翌朝8時から仕込みを担当する場合、勤務終了から次の勤務開始までは9時間しかありません。通勤や食事などの時間を考えると、睡眠に使える時間はさらに短くなります。

こうした問題への対策の一つが「勤務間インターバル制度」です。

これは、勤務終了から次の勤務開始までに、一定の休息時間を設ける仕組みで、事業主には導入の努力義務があります。シフトを組む際には、誰が何時間働くかだけでなく、次の勤務までにどれくらい休めるかにも目を向けたいですね。

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まずは今のお店の働き方を確認しよう

長時間労働を減らすために、いきなり人員を増やしたり、シフトを大きく変えたりするのは難しいかもしれません。

まずは、次の項目を確認してみましょう。

  • 店長や特定の社員に長時間労働が集中していませんか?
  • 仕込みや閉店作業に、想定以上の時間がかかっていませんか?
  • ほかの従業員へ任せられる仕事はありませんか?
  • 忙しい時間帯に、必要な人数を配置できていますか?
  • 従業員が十分な休息を取れるシフトになっていますか?

一つでも気になる項目があれば、まずはその業務や時間帯を詳しく確認してみてください。ただし、店長の負担を減らすために、ほかの従業員へ仕事を集中させてしまっては意味がありません。

また、従業員の体調に問題がある場合や、医師による面接指導が必要な場合には、業務改善の検討を待たずに適切な対応を行う必要があります。

まとめ

飲食店では、仕込みから閉店作業までさまざまな仕事があり、店長や一部の社員に業務が集中することがあります。長時間労働を防ぐには、労働時間を正しく把握し、従業員の健康を守るために必要な対応を行うことが欠かせません。

そのうえで、仕込みやピークタイムの仕事を分担したり、店長が店舗管理や従業員教育に取り組める時間を確保したりすることも、改善への一歩になります。

働く人の健康を守りながら、お店や会社を長く続けていくために、まずは今の働き方を見直してみてはいかがでしょうか。

参考にした公的情報

この記事は、以下の法令・公的情報をもとに作成しています。

※法令・公的情報は2026年10月時点の内容を確認しています。

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