【パワハラを考える #03】パワハラの6類型とは?飲食業の事例から考える

パワハラを考える

こんにちは、nobuです。

今回は、パワハラシリーズ第3弾です。第1弾では「そもそもパワハラとは何か」、第2弾では「店長の注意・指導はどこからパワハラになるのか」を見てきました。

では、実際の職場ではどんな行為に気をつければいいのでしょうか。

厚生労働省では、職場で起こるパワハラの代表的な言動を6つの類型に整理しています。今回はその6類型を、飲食業の現場で起こりそうな場面に置き換えながら見ていきます。

これ、うちの店や会社でもありそうだな、そんな目線で読んでもらえたらと思います。

パワハラには6つの代表的な類型がある

厚生労働省が示しているのは、次の6つです。

  • 身体的な攻撃
  • 精神的な攻撃
  • 人間関係からの切り離し
  • 過大な要求
  • 過小な要求
  • 個の侵害

名前だけ見ると、少し難しく何かとっかかりにくいですよね。なので、ここからは飲食業の現場に置き換えて、一つずつ見ていきましょう。

なお、この6つはあくまで代表的な例です。当てはまったら必ずパワハラ、当てはまらなければ問題ない、と判断するものではないことに注意しながら確認してみてください。

① 身体的な攻撃

これは比較的イメージしやすいと思います。

殴る、蹴る、物を投げつけるなど、身体に危害を加える行為です。たとえば、忙しい営業中に従業員がミスをし、それに腹を立てて頭を叩いたり、物を投げつけたりするケースなどが挙げられます。

飲食業のピークタイムは、どうしても職場の空気がピリピリしがちです。それでも、ミスをした従業員に身体的な攻撃をしてよい理由にはなりません。

② 精神的な攻撃

脅したり、侮辱したり、人格を否定するようなひどい言葉を浴びせたりする行為です。

たとえば、ほかの従業員がいる前で、「こんなこともできないの?」「何回言ったら分かるんだ」などと、必要な範囲を超えて繰り返し厳しく責めるような場面が考えられます。

ただし、ここで注意したいことがあります。

従業員への注意や指導が、すべてパワハラになるわけではありません。

仕事でミスや問題行動があれば、店長や管理者として伝えなければならないこともあります。何を伝えるのかだけでなく、なぜ伝えるのか、そしてどのように伝えるのかも大切でしょう。

第2弾では、この注意・指導とパワハラについて詳しく整理しています。

③ 人間関係からの切り離し

特定の人を隔離したり、仲間外れにしたり、無視したりする行為です。

例を挙げると、特定の従業員だけ仕事に必要な情報を伝えない、周囲も一緒になって無視するといったケースですね。

私自身、店長時代に年上の部下との関係が悪くなった経験があります。人間関係がうまくいかなくなると、仕事上のコミュニケーションにも影響してくるものです。

もちろん、誰かと仲が悪くなったことや、会話が少なくなったことだけでパワハラになるわけではありません。ただ、人間関係の悪化が仕事にまで持ち込まれ、必要な情報を伝えない、意図的に孤立させるといった状態になっていないかは気をつけたいところです。

このときの経験については、「店長のしくじり話」で詳しく書いています。

▶ 関連記事
【店長のしくじり話 #01】年上の部下との関係が悪くなって気づいたこと

④ 過大な要求

仕事上明らかに必要のないことや、到底できないようなことを無理にさせることなどです。

たとえば、仕事とは関係のない私的な雑用を無理にさせたり、十分な教育もないまま到底対応できない仕事を押しつけたりするケースなどが挙げられます。

ただ、難しい仕事を任せたからといって、それだけでパワハラになるわけではありません。新人に少しずつ難しい仕事を経験してもらうことも、人を育てるうえでは必要でしょう。

大切なのは、その人の経験や能力、仕事を任せる目的などを考えること。

成長してほしいから任せることと、できないと分かっていて無理なことを押しつけるのでは、意味が全く違います。

⑤ 過小な要求

今度は④とは反対です。

合理的な理由がないのに、その人の能力や経験とかけ離れた簡単な仕事だけをさせたり、仕事そのものを与えなかったりすることです。

たとえば、人間関係が悪くなったことを理由に、経験のある従業員を仕事から外し続けるようなケース。もちろん、担当を変えること自体が問題なのではありません。教育のため、本人の適性を考えて、店舗や会社の運営上必要だからなど、仕事を変更する理由がある場合も考えられます。

何をさせたかだけを見るのではなく、なぜそうしたのかまで考え、従業員に伝えることが大事ではないでしょうか。

⑥ 個の侵害

最後は「個の侵害」です。

簡単にいうと、従業員の私生活に必要以上に立ち入ること。たとえば、職場の外でも継続的に監視したり、本人から聞いた病歴などのデリケートな個人情報を、了解なくほかの従業員に話したりするケースなどが挙げられますね。

この距離感については、私自身も店長時代を振り返って考えることがあります。当時は従業員との距離がかなり近く、仲の良い従業員とは休日にも一緒に遊んでいました。それ自体は悪いことではありませんし、今でも大切な思い出です。

でも、今になって思うことがあります。一部の従業員と店長がとても仲良くしている姿を、ほかの従業員はどう感じていたのだろう。仲が良い従業員と休日に遊ぶこと自体が、個の侵害になるわけではありません。それでも、店長や管理者と従業員という職場での関係がなくなるわけではないですよね。

仲が良いから大丈夫と考えるのではなく、相手との距離感や周囲からどう見えているのかまで考える。これは大切なことだったなと、今では感じています。

6類型だけでパワハラと決めない

ここまで6つを見てきましたが、一番気をつけたいのがここです。

この6つのどれかに当てはまったから、パワハラだ。そんな単純な判断ではありません。

職場のパワハラは、

  • 優越的な関係を背景とした言動
  • 仕事上、必要かつ相当な範囲を超えた言動
  • その言動によって、働く環境が害されること

この3つをすべて満たすものとされています。

また、厚生労働省が示す6類型も、すべてのパワハラを網羅しているわけではありません。実際に判断するときは、何を言ったか、何をしたかだけではなく、その目的や経緯、程度、頻度、本人との関係なども含めて考えていくことが大切です。

パワハラを知ると、注意できなくなる?

パワハラについて知れば知るほど、「これもダメなの?」「もう従業員に注意できないよ」と思ってしまう店長や管理者もいるかもしれません。

でも、必要な注意や指導までやめる必要はありません。

問題が起きたら、まず事実を確認する。そのうえで、人格ではなく問題となった行動について話し、なぜ改善が必要なのかを伝える。そして、ときには店長や管理者自身も、自分の伝え方や従業員との距離感を振り返ってみる。

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飲食店の問題社員対応|トラブルが起きたときに最初にやるべき4つのこと

私も店長時代を振り返ると、もっとこうすればよかったと思うことはたくさんあります。

パワハラについて知ることは、何も言えない店長や管理者になるためではありません。

必要なことをきちんと伝えながら、そこで働く人も大事にできるお店や会社にしていく。そのために知っておきたいことだと、私は思っています。

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