磨くヒトで『飲食労務』を始めます

飲食業を磨く

こんにちは、nobuです。

「磨くヒト」では、飲食業の経営者や店長に向けて、労務や店長マネジメントなど「ヒト」に関わる情報を発信しています。もともとは、うつ病やパニック障害、休職や復職など、主に働く人の側から心を守ることや、自分に合った働き方について書いてきました。

そこから、もう一つ考えるようになったのが、働く環境をつくる側の視点です。働く人だけではなく、お店や会社からも考えてみたい。その思いが、飲食業の労務について発信するきっかけになりました。

本気で「世界一の店にしたい」と思っていた

私は以前、飲食店の立ち上げに深く関わり、開業から店舗運営、採用や教育、店づくりまで経験してきました。どうすればお客様に喜んでもらえるのか、もっと店を知ってもらうには何ができるのか、スタッフにどう仕事を教えるのか。毎日のように店のことを考えていた時期です。

当時の私は、本気で「世界一の店にしたい」と思っていました。振り返ると、なかなか大きなことを言っていますが、それくらい飲食業に夢中だったのだと思います。

小さく始まった店は少しずつ成長し、やがて行列のできる店へ。事業の法人化も経験しました。もちろん、私一人の力ではなく、一緒に働いた人たち、お客様、周囲の支えがあってこそです。

何もないところから始まった店が、少しずつ育っていく。その過程に関われたことは、今でも私にとって大きな経験です。

店は成長した。でも、知らないことも多かった

店が成長したからといって、店長として何でもうまくできていたわけではありません。むしろ、今でもよく覚えているのは失敗したことです。

人が辞めれば、残ったスタッフの負担が増える。店長が仕事を抱え込めば、その店長自身が疲れていく。スタッフへの伝え方や距離感を間違えたこともありました。

目の前の営業を回すことには必死でしたが、労働時間や休憩、働き方、従業員への指導など、「ヒト」に関わる知識は十分ではありませんでした。当時は自分なりに一生懸命だったものの、一生懸命であることと、適切にできていることは同じではありません。

店を長く続けていくためには、料理や売上だけではなく、人について学び、働く環境を整えることも必要だった。今になって、その大切さを感じています。

働けなくなった経験から、環境について考えるようになった

その後、私自身が心の調子を崩し、働けなくなった時期がありました。うつ病、PTSD、パニック障害と診断され、休職や復職、短時間勤務も経験しています。

それまで普通にできていたことが、できなくなる。その経験を通して、働くことは本人の頑張りだけで成り立つものではないと考えるようになりました。

労働時間や休み方、人間関係、相談できる環境、会社の仕組み。働く人自身が心と体を守ることはもちろん、店や会社が働きやすい環境を整えることも大切です。

働く人だけに自分を大切にしようと伝えるのではなく、働く環境も一緒に考える。その視点が、今の「磨くヒト」につながっています。

労務を学んで、昔の自分が違って見えた

飲食業を離れたあと、以前から興味のあった労務の仕事へ進みました。現在は、社会保険・労働保険の手続き、給与、勤怠などの実務を中心に、労務コンサルティングにも携わっています。

仕事をしながら労務について学んでいくと、飲食店で働いていたころの出来事が、それまでとは違って見えるようになりました。閉店後の片付けや清掃などの時間をどう考えるのか、採用したスタッフへ労働条件をどう伝えるのか、休憩や休日をどう確保するのか。従業員への注意や指導についても、当時とは考え方が変わっています。

知れば知るほど、当時の自分に教えたくなります。でも、過去には戻れません。

それなら、当時の自分が知らなかったことを、今店を経営している人や店長に伝えることはできる。飲食現場での経験と、今学んでいる労務。その二つがつながったことで、「磨くヒト」の方向性も少しずつ形になっていきました。

法律だけでは、飲食店の現場は回らない

労務の仕事をするようになり、法律や制度を知ることの大切さを改めて感じています。一方で、それを説明するだけでは、飲食店の現場で使いにくいことがあるのも事実です。

飲食店にはピークタイムがあり、急な欠勤もあります。人手が足りなければ、店長自身が現場に入らなければならない日もあるでしょう。私自身も運営する側にいたので、現場だから仕方がないと考えてしまう感覚はよく分かります。

だからこそ、法律ではこうなっていると説明して終わりにはしたくありません。法律や制度を確認したうえで、飲食店の現場でどう運用するのか、今すぐ全部を変えられないなら何から始めるのか。そこまで一緒に考えることを大切にしています。

会社と働く人、どちらも大事にしたい

「磨くヒト」は、経営者や店長を責めるための場所ではありません。一方で、働く人だけに我慢を求める場所にもしたくないと考えています。

店や会社には目的があり、経営を続けていく必要があります。売上をつくり、必要なルールを整え、仕事を教える。問題が起きれば事実を確認し、ときには注意や指導も必要になるでしょう。

そのうえで、そこで働く人をおざなりにしない。会社を守ることと、働く人を大事にすることは、どちらか一方を選ぶものではないと思っています。

両方を考えながら、より良い方法を探していく。それが、私にとって「ヒトを大事にする」ということです。

「磨くヒト」で発信していること

現在の「磨くヒト」では、飲食業で起こる「ヒト」の悩みを、給与・労働時間、採用・雇用、退職・解雇、従業員対応、マネジメント、労災・健康管理の6つに分けて発信しています。

法律や制度を扱う記事では、関係法令や厚生労働省などの公的情報を確認し、できるだけ難しい言葉を使わずに整理しています。そのうえで、実際の飲食店ならどう考えるのか、店長は何を確認すればいいのか、現場でどう運用するのかまで伝えることを大切にしています。

そして、制度や法律の話だけではなく、店長時代の失敗も「店長のしくじり話」として残しています。当時何が起きたのか、なぜうまくいかなかったのか、今の自分ならどう考えるのか。成功した経験だけでなく、失敗から学んだことも「磨くヒト」の大切なコンテンツです。

格好いい話ばかりではありません。それでも、私の失敗が誰かの同じ失敗を防ぐきっかけになれば、その経験にも意味があると思っています。

▶ 店長のしくじり話
【店長のしくじり話 #01】年上の部下との関係が悪くなって気づいたこと

飲食業を、ヒトから磨く。

以前の「磨くヒト」では、働く人の側から心を守ることを中心に考えてきました。そこへ、飲食現場での経験と現在の労務の仕事が加わり、今ではそれぞれ別の経験ではなかったと感じています。

店をつくったこと。経営やマネジメントで失敗したこと。働けなくなったこと。そして、労務を学んでいること。振り返ってみると、すべて「ヒト」につながっています。

だから今の「磨くヒト」では、「飲食業を、ヒトから磨く。」を掲げています。

飲食業全体を、私一人で変えられるとは思っていません。でも、一人でも、一つの店でも、一つの会社でも、昨日より少し良くするきっかけならつくれるかもしれません。

残業代が合っているのか分からない。スタッフへの対応に迷っている。何から整えればいいのか分からない。そんなときに、ふと「磨くヒト」を思い出してもらえる場所を目指しています。

私自身も、まだまだ学んでいる途中です。これまでの成功も失敗も、今身につけている知識も使いながら、これからも「磨くヒト」を育てていきます。

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