【パワハラを考える #05】飲食店のパワハラ防止対策|会社の義務と小さなお店でできること

従業員対応

こんにちは、nobuです。

パワハラを防ぐために、店や会社は何をすればよいのでしょうか。

従業員への注意や指導、日頃のコミュニケーション、相談しやすい環境づくり。どれも大切ですが、それだけでなく、会社として整えておかなければならないルールや仕組みもあります。

ただ、従業員が数人しかいない飲食店では、専門の担当者を置くことが難しく、費用もできるだけ抑えたいところではないでしょうか。

今回は、パワハラを防ぐために会社が行うべき対策を確認しながら、小さなお店でも取り組める方法を一緒に考えていきましょう。

パワハラを防ぐために、会社がやるべきこと

労働施策総合推進法第30条の2では、会社にパワハラを防ぐための対策を義務づけています。

これは大企業だけの話ではなく、従業員が数人しかいない飲食店も対象です。

厚生労働省の指針では、会社が行うべき対策として、主に次の4つが示されています。

  1. パワハラを許さない方針を決め、従業員に知らせる
  2. 相談窓口を設け、相談に対応できる仕組みを整える
  3. 相談があった場合、事実を確認し、必要な対応や再発防止を行う
  4. 相談した人などのプライバシーを守り、相談したことなどを理由に不利益な扱いをしない

法律で求められているのは、こうした対策を会社として整えることです。

では、小さなお店では、どこから手をつければよいのでしょうか。

まずは、お店のルールを決めて伝えよう

最初に取り組みたいのは、パワハラを許さないという会社の方針を明確にすること。

例えば、仕事のミスを注意するときに、相手の人格を否定したり、ほかの従業員の前で必要以上に厳しく叱責したりすることは、パワハラにつながるおそれがあります。

こうした言動を認めないことを、店長や社員、アルバイトを含めた従業員に伝えておきましょう。

また、パワハラをした場合に会社としてどう対処するのかを決め、就業規則などの文書で明確にし、周知することも必要になります。

ただし、パワハラを防ぐことと、必要な注意や指導をしないことは別の話です。

仕事のミスやルール違反があれば、改善を求める場面もあります。その際に大切なのは、相手の人格ではなく、何が問題だったのか、どう改善してほしいのかを具体的に伝えることではないでしょうか。

小さなお店の相談窓口はどうすればいい?

例えば、経営者と店長、アルバイト3人で運営している飲食店を考えてみましょう。

相談窓口を店長に決めたとしても、その店長自身についてパワハラの相談があった場合、従業員は誰に相談すればよいのでしょうか。

また、相談を受けた経営者が、事実確認や必要な対応について十分な知識を持っているとも限りません。

私自身、飲食店を経営していた頃は、労務について知らないことがたくさんありました。今なら確認できることでも、当時の自分だったらどう対応していただろうかと考えることがあります。

だからこそ、小さなお店では、相談窓口を設けるだけでなく、相談を受けた後にどう動くのかまで準備しておきたいところです。

厚生労働省の指針では、社内に担当者を決める方法のほか、外部の機関へ相談対応を委託する方法なども示されています。

外部への委託が必須というわけではありませんが、社内で担当する場合も、適切に対応できるよう準備しておく必要があります。

費用を抑えて相談体制を整える方法

小規模な飲食店にとって、外部の相談窓口を継続的に利用する費用は、決して小さな負担ではありません。

そこで、まずは無料で使える公的資料を活用し、社内でできることから整えていく方法を考えてみます。

① 相談を受ける人と方法を決める

最初に、誰が相談を受けるのかを決め、従業員へ知らせます。

直接話す方法だけでなく、メールなどで相談を受け付ける方法も考えられるでしょう。

ただし、担当者自身が相談の対象になる場合はどうするのか。別の担当者を置けるのかも、事前に考えておきたいところです。

また、相談内容が関係のない従業員に知られないよう、情報の管理にも気を配る必要があります。

② 無料の資料を使って対応方法を学ぶ

厚生労働省の「あかるい職場応援団」では、パワハラ防止に役立つ資料が無料で公開されています。

例えば、相談を受けたときに使える相談受付票や、相談窓口の運用に関する資料、管理職・従業員向けの研修資料などです。

こうした資料を活用すれば、相談担当者が基本的な対応方法を学ぶところから始められます。

すべてを一から考える必要はありません。まずは公的資料に目を通し、自分のお店で使えるものがないか確認してみてはいかがでしょうか。

▶ 参考資料
厚生労働省「あかるい職場応援団」資料ダウンロード

③ 相談を受けた後の流れを決める

相談があったとき、誰が何をするのかも整理しておきたいところです。

相談者の話を聞いて内容を記録する。関係者から事実を確認する。そのうえで、必要な対応を検討する。

こうした基本的な流れを知っておくだけでも、実際に相談があったときの備えになります。

ただし、相談者の話だけでパワハラと決めつけたり、十分に確認せず相手を処分したりすることは避けなければなりません。

詳しい対応については、シリーズ第4弾で紹介しています。

▶ 関連記事
【パワハラを考える #04】従業員から「パワハラです」と相談されたら?会社・店が確認したい対応の流れ

④ 社内だけで難しい場合は外部の支援も考える

経営者自身が相談の対象になっている場合など、社内だけでは公平に対応することが難しいケースもあります。

そんなときは、外部の専門家への相談や支援も選択肢の一つです。

また、都道府県労働局の総合労働相談コーナーでは、事業主も無料で労働問題について相談できます。

ただ、労働局が会社に代わって社内調査や処分の判断をしてくれるわけではありません。会社として必要な対応は、引き続き行う必要があります。

最初からすべてを外部に委託するのではなく、社内で対応できることを整理し、難しい部分について支援を検討する。小規模なお店では、そうした方法が現実的ではないでしょうか。

相談した人を守ることも忘れずに

相談を受ける際には、相談した人だけでなく、パワハラをしたとされる人などのプライバシーも守る必要があります。

また、相談したことや事実確認に協力したことなどを理由に、解雇や不当な配置転換などの不利益な扱いをしてはいけません。

こうしたルールを従業員に知らせることも、会社に求められている対策の一つです。

例えば、相談した内容を関係のない従業員に話したり、相談した人を一方的に責めたりすることがないよう、担当者にも伝えておきたいところです。

相談した後、自分がどう扱われるのか分からない。そんな不安を少しでも減らせるよう、会社としての対応方針を明確にしておくことが大切だと考えています。

日頃の職場づくりも見直してみよう

ここまでは、会社が整えておきたいルールや相談体制について紹介しました。

それに加えて、普段の仕事の進め方や従業員との関わり方にも目を向けたいところですね。

例えば、忙しい時間帯に特定の従業員へ仕事が集中していないか。新人が十分に仕事を教わらないまま、厳しく注意されていないか。

また、店長自身が多くの仕事を抱え、従業員と落ち着いて話す時間を取れなくなっていないかも確認したいところです。

私自身、飲食店を経営していた頃は、日々の店舗運営や従業員への指導に追われ、相手への伝え方を十分に振り返れなかったことがありました。

当時は目の前の仕事を回すことに必死でしたが、今振り返ると、普段の仕事の進め方や人との関わり方にも、もっと目を向ける必要があったと感じています。

店長や経営者がすべてを一人で抱え込まず、仕事の分担や指導の方法を考えることも、働きやすい職場づくりにつながるのではないでしょうか。

まとめ|相談できるだけでなく、対応できるお店へ

パワハラを防ぐための対策は、小規模な飲食店や会社にも義務づけられています。

まずは会社の方針を決め、従業員へ伝えること。そして、相談を受ける担当者と、相談があったときの対応方法を整えておく必要があります。

外部の専門業者に委託しなくても、厚生労働省の無料資料を活用しながら準備できることはあります。一方で、社内だけでは難しい場合には、外部の支援も検討してみる。

相談窓口を設置することだけがゴールではありません。

従業員が安心して相談でき、会社がその声にきちんと向き合える。そんな仕組みを、少しずつ整えていきたいですね。

参考にした公的情報

この記事は、以下の法令・公的情報をもとに作成しています。

※法令・公的情報は2026年10月時点の内容を確認しています。

コメント