飲食店のアルバイト・パートにも有給休暇はある|取りやすい店づくりにするには?

働き方

こんにちは、nobuです。

飲食店で働いていた頃、私はアルバイトにも有給休暇があることを、きちんと理解していませんでした。今、労務の仕事に携わって振り返ると、「知らなかった」では済まされないかなと反省中です。

有給休暇は、正社員だけの制度ではなく、アルバイトやパートでも、条件を満たせば取得可能ですが、飲食店では土日祝や繁忙期に人手が必要になることも多く、

「有給を取られたら店が回らない」と感じる店長や経営者もいると思います。

私自身、飲食店の現場・経営を経験しているので、その難しさはとても理解できますが、だからこそ大切なのは、「有給休暇を取ってもらうのは無理だ」とせず、店の繁閑や人員配置を把握しながら、どうすれば従業員が有給休暇を使える環境をつくれるのかを考えることだと思います。

この記事では、アルバイトやパートの有給休暇の基本と、飲食店で取りやすい環境をつくるための考え方を、できるだけ分かりやすく整理していきます。

飲食店のアルバイト・パートにも有給休暇はある

まず、店長や経営者に知っておいてほしいことがあります。

有給休暇は、正社員だけの制度ではありません。

アルバイトやパートで働いている人も、条件を満たせば有給休暇が付与されます。

基本となる条件は、

  • 雇い入れから6か月間、継続して働いている
  • その期間の出勤率が8割以上

この2つです。

では、実際に何日の有給休暇が付与されるのかみていきましょう。

原則となる有給休暇の日数

原則、働き続けた期間に応じて次の日数が付与されます。

働き続けた期間 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
有給休暇の日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

例えば、週5日働いている人や、週の決められた労働時間が30時間以上の人などは、アルバイトやパートという呼び方で働いていても、この日数が基本になります。

つまり、「アルバイトだから有給休暇が少ない」とは限りません。

雇用形態の名前ではなく、実際の働き方で考える必要があることを覚えておいてください。

勤務日数が少ないアルバイト・パートは比例付与になる

一方で、週の決められた労働時間が30時間未満で、週4日以下などの働き方をしている場合には、勤務日数に応じて有給休暇の日数が少なくなる「比例付与」という仕組みがあります。

週の勤務日数 年間の勤務日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
4日 169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

例えば、週3日勤務のアルバイトであれば、条件を満たすと6か月後に5日。週1日勤務でも1日の有給休暇が付与されます。

飲食店には、学生アルバイトや短時間のパートも多く働いていることが多いですが、「アルバイトだから有給はない」ではありません。

ここは、店長や経営者だけでなく、働いている本人にも知っておいてほしいところです。

私は飲食店時代、アルバイトの有給休暇を知らなかった

私自身、飲食店で現場や経営に携わっていましたが、当時はアルバイトの有給休暇についてきちんと理解していませんでした。

アルバイトもたくさんいました。それでも、「アルバイトにも有給休暇がある」というところまで意識して店舗を運営できていなかったのです。

もちろん、知らなかったから仕方ない、という話ではありませんが。。。

ただ、飲食店で働いていると、

「今日の営業をどう回すか」「週末のシフトをどう埋めるか」「今月の人件費をどうするか」

そんな目の前のことで頭がいっぱいになることもあります。

私自身が現場にいたからこそ、その感覚はよく分かりますが、だからこそ、まず制度を知ることが適切な職場づくりの最初の一歩だと思います。

学生アルバイトから土日祝に有給を取りたいと言われたら?

では、学生アルバイトから、「来週の日曜日、有給を取りたいです」と言われたらどうでしょうか。

飲食店にとって、土日祝はお客様が増える大切な営業日になることが多いですよね。

一方で、学生には授業や試験、学校行事、プライベートの予定などがあります。店が人を必要とする日と、従業員が休みたい日が重なることもあるでしょう。

しかも、その日に予約がたくさん入っていて、従業員が一人休むだけでも厳しい。その気持ち痛いほど理解できます。

ただし、有給休暇は基本的に、従業員が希望した日に取れるものです。

そのため、「土日は忙しいから有給は禁止」という扱いはできません。

一方で、本当にその日に休まれると通常どおり営業することが難しくなる場合には、お店側から別の日に変えてもらうことができる仕組みがあります。

これが「時季変更権」です。

ただし、「忙しいから」「土曜日だから」「人手不足だから」というだけで、いつでも自由に変更できるものではありません。店の規模や仕事の内容、その日の忙しさ、ほかの従業員で対応できるかなど、そのときの状況を見て考える必要があります。

そして大切なのは、

「有給を取らせないための制度ではない」

ということです。

あくまで、本当にその日では営業に大きな支障が出る場合に、別の日に変更してもらうための仕組みです。

「時季指定」と「時季変更権」は何が違う?

有給休暇は、「時季指定」「時季変更権」という仕組みが出てきますが、名前だけを見ると分かりづらいので簡単に整理してみます。

年5日の「時季指定」 「時季変更権」
どんな仕組み? 有給を年間5日はきちんと取ってもらうための仕組み 希望された日に休まれると営業に大きな支障が出る場合に、別の日へ変更してもらう仕組み
誰から動く? 会社・お店側 まず従業員が「この日に休みたい」と希望する
対象になる人 法律上、有給休暇が10日以上付与される従業員 有給休暇を取ろうとしている従業員
従業員の希望は? 本人の希望を聞き、できる限り希望に沿うようにする 基本は本人が希望した日に取る
忙しければ使える? 忙しい日の有給を断るための制度ではない 本当に通常どおり営業することが難しくなる場合に限って、別の日への変更を考える
有給そのものをなくせる? できない できない

かなり簡単に言うと、

時季指定は「有給をきちんと取ってもらおう」という仕組み。

時季変更権は「その日はどうしても難しいので、別の日にしてもらおう」という仕組み。

という違いです。

名前は難しいですが、考え方はそこまで複雑ではありません。

年5日は有給休暇を取ってもらう必要がある

法律上の有給休暇が10日以上付与される従業員については、1年間に5日は確実に有給休暇を取得してもらう必要があります。

これは正社員だけではありません。

先ほどの表を見ると、長く働いているパートやアルバイトでも、付与される有給休暇が10日以上になる場合があり、その場合は対象となります。

ただし、本人がすでに自分から5日以上の有給休暇を取っていれば、お店側がさらに5日を指定するわけではありません。例えば、まだ3日しか取得していないのであれば、残りの日数について本人の希望を聞きながら、取得する日を決めていくことになります。

ここでも大切なのは、「店側が好きな日に勝手に休ませればいい」わけではないということではなく、従業員の希望を聞きながら、できる限りその希望に沿った形で取得してもらうことが基本になりますのでご注意を。

繁忙期と人員配置を把握することが大事

ここからは法律というより、店舗運営の話です。

飲食店には、ある程度の繁閑があります。金曜日や土曜日が忙しい店。ランチにお客様が集中する店。忘年会シーズンに一気に忙しくなる店もあります。

反対に、「この月は少し落ち着く」「この曜日は比較的人数に余裕がある」という時期もあると思います。

店長や経営者が、

「自分の店は、いつ忙しくて、いつ比較的余裕があるのか」

を把握しておく。

これは、有給休暇を取りやすくするうえでも大事だと思います。

例えば従業員から、「来月、有給を取りたいです」という相談があったときに、

「この辺りなら比較的シフトに余裕があるよ」と伝えることもできます。

もちろん、「じゃあ、この日に休んで」と店側が一方的に決めるという意味ではありません。

本人の希望を聞きながら、

店側も「どうすれば休めるか」を一緒に考える。

その姿勢が大切なのではないでしょうか。

少ない人数で店を回したい気持ちも分かる

飲食店を経営する以上、利益を出さなければ店を続けることはできません。必要以上に人を配置すれば、人件費も増えます。

だから、

「できるだけ少ない人数で営業したい」

という考え自体は、私にもよく分かります。

実際に飲食店を経営していたからこそ、人件費を考える大切さも分かっています。今は、急に人が足りなくなったときにスポットワークなどを利用する方法もあります。そういったサービスを上手に活用するのも、一つの方法となってきました。

ただ、毎日ギリギリの人数で、

「誰か一人休んだら店が回らない」

という状態が続いていたらどうでしょうか。

有給休暇だけではありません。従業員が体調を崩すこともあれば、家族の事情で急に休むことだってあります。だからといって、毎日たくさんの余剰人員を置きましょう、という話でもありません。

年間の繁閑。

月ごとの売上。

曜日ごとの忙しさ。

予約状況。

従業員の希望。

そういったものを見ながら、人員配置を考えていく。

「有給を取られたら困る」ではなく、「どうすれば取れるようにできるか」を考える。

店舗運営には、そんな視点も必要なのではないでしょうか。

有給休暇を取れる環境は「人への投資」になる

有給休暇を取得してもらえば、働いていない日にも賃金を支払うことになります。お店側から見れば、当然コストです。

でも私は今、有給休暇をきちんと使える環境をつくることも、人への投資の一つだと考えています。

「アルバイトでも有給休暇をきちんと使える」

「休みについて店長に相談できる」

「どうすれば休めるかを店側も考えてくれる」

そんな職場であることは、働く人にとって一つの魅力になると思います。

飲食業で人を募集するとき、時給や勤務時間はもちろん大切ですが、

「この店は、働いている人のことをちゃんと考えてくれている」

と感じてもらえることも、同じくらい大切ではないでしょうか。

有給休暇は、会社が特別に用意する福利厚生ではありません。条件を満たした従業員に、法律上認められている制度です。

だから、有給を取らせてあげるという考えではなく、

「本来ある制度を、きちんと使えるようにする」

という考え方を持つことが大事ではないしょうか。

有給休暇があるだけでなく「使える店」へ

私は飲食店で働いていた当時、アルバイトの有給休暇について十分な知識を持っていませんでした。

今なら、まず制度をきちんと理解したうえで、

  • どの時期が忙しいのか。
  • どの曜日なら比較的人員に余裕があるのか。
  • 誰かが休んだとき、どうやって店を回すのか。

普段から店の状況を把握して、従業員が有給休暇を取れる方法を考えると思います。

飲食店で有給休暇を取りやすい環境をつくることは、簡単ではありません。利益も必要です。人件費も考えなければいけません。急な欠勤だってあります。現場を経験しているからこそ、その難しさは分かります。

それでも、「どうすれば制度を使ってもらえるか」を考える姿勢は、従業員にも伝わる。私はそう思っています。

お客様を大切にすることは、飲食店にとってもちろん重要です。

でも、そのお客様を毎日迎えているのは、そこで働いている人たちです。

制度があるだけではなく、実際に使える職場にする。

そんなところから、ヒトを大事にする店づくりは始まるのではないでしょうか。

※今回は、私が飲食時代に勉強不足であった部分を押し付けて「有給を使ってもらいましょう」のように感じるかもしれませんが、是非、私の知識不足・経験不足を活かしてより良い会社や店舗づくりをしていっていただければ嬉しいです。

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