こんにちは、nobuです。
飲食店を経営していると、こんな従業員のトラブルに悩むことはありませんか?
- 何度注意しても遅刻してくる
- 連絡なしで休む
- 店長の指示を聞いてくれない
- ほかのスタッフに暴言を吐く
私自身、飲食業の現場に長くいたので、人に関する悩みがどれだけ大変かはよく分かります。忙しい営業中にこうした問題が起きると、余裕がなくなり、「もう辞めてもらった方がいいのでは?」と考えてしまうこともあるのではないでしょうか。
ただ、感情のまま行動してしまうと、思わぬリスクにつながることがあります。
その場の勢いで強く叱責したり、十分に事実確認をしないまま処分を決めたり、すぐに「辞めてほしい」と伝えてしまったりすると、後から問題が大きくなる可能性があります。
感情を持つこと自体が悪いわけではありません。大切なのは、感情と対応を分けることです。
問題のある行動があったとしても、まず必要なのは「何があったのか」を整理すること。今回は、従業員に問題が起きたとき、経営者や店長が最初にやっておきたいことを4つに整理します。
1.まず「何があったのか」を確認する
最初にやることは、事実確認です。
たとえば「遅刻が多い従業員がいる」という場合でも、次のように具体的に整理してみます。
- いつ遅刻したのか
- 何分遅刻したのか
- 本人から連絡はあったのか
- これまで何回あったのか
- 店側はどのような注意をしたのか
ここまで整理すると、状況がかなり見えやすくなります。
「最近あの人、遅刻ばかりなんですよ」
これだけでは、後から振り返ったときに具体的な状況が分かりません。大切なのは、人を「問題社員」と決めつけることではなく、問題となっている「行動」を具体的に確認することです。
2.本人から事情を聞く
次に、本人から話を聞きます。
遅刻した。無断で休んだ。指示に従わなかった。それだけを見れば、本人に問題があるように感じるかもしれません。しかし、そこには何らかの事情がある可能性もあります。
だからこそ、次のように本人の説明を確認することが大切です。
- なぜ遅刻したのか
- なぜ連絡できなかったのか
- なぜ指示に従わなかったのか
もちろん、事情を聞いたからといって、すべてを許すという意味ではありません。店側が把握している事実と本人の説明を確認したうえで、必要な注意や指導を考えます。
一方的に決めつけず、まず話を聞く。その姿勢が、その後の対応を考えるうえでも大切になります。
3.注意・指導した内容を記録する
ここは特に大切です。
「口頭で注意して終わり」
飲食店では、意外と多いのではないでしょうか。毎日忙しいのに、従業員を注意した内容まで、いちいち記録していられない。その気持ちはよく分かります。
ただ、同じ問題が繰り返されたとき、「前にも何度も注意した」だけでは、いつ、何について、どのような指導をしたのか分からなくなってしまいます。
最低限でも、次の内容を残しておくと、その後の対応を考えやすくなります。
- 問題となった行動
- 発生した日時
- 本人から聞いた内容
- 店側から伝えた注意・指導
- 本人の反応
長い報告書を書く必要はありません。「いつ・何があった・何を伝えた」。まずはこれだけでも、記録する習慣をつけておきましょう。
記録するときは、感情的な評価ではなく、確認できた事実と本人の説明を分けて残すことも大切です。事実を客観的に記録しておくことは、従業員への適切な対応を考えるためだけでなく、大切な店を守ることにもつながります。
注意・指導記録シート|基本記録版
問題となった行動や本人の説明、店側から伝えた指導内容を整理できるシートを用意しました。A4縦2ページで、1ページ目が記録用、2ページ目が記入例です。
4.店のルールを確認する
最後に確認したいのが、店のルールです。
就業規則がある場合には、次のような内容を確認します。
- 遅刻・欠勤についてどう定めているか
- 服務規律にどのような決まりがあるか
- 懲戒の種類や対象となる行為についてどう定めているか
- 解雇に関する定めはどうなっているか
雇用契約書や労働条件通知書なども確認しておきましょう。
ここで困るのが、「そもそも店のルールをきちんと整備していなかった」というケースです。
問題が起きてから、「うちでは昔からこうしている」「普通は分かるでしょ」では、従業員との認識が食い違ってしまうことがあります。
なお、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る義務があります。10人未満であっても、働くうえでのルールを整理し、従業員と共有しておくことは大切です。
また、就業規則を作成しただけで終わらせず、従業員が内容を確認できるよう周知しておく必要があります。
問題が起きたときの対応だけではなく、普段から店のルールを整え、従業員に伝えておきましょう。
「問題がある=すぐ解雇」ではない
従業員に問題があると、「解雇できますか?」という話になりがちです。しかし、解雇には法律上のルールがあります。
労働契約法第16条では、次のように定められています。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
つまり、問題行動があったという理由だけで、必ず解雇できるわけではありません。
厚生労働省も、勤務態度や業務命令違反などを理由とする解雇について、行為の内容や程度、会社が受けた損害、故意の有無、やむを得ない事情など、さまざまな事情が考慮されると説明しています。
また、懲戒処分についても、労働契約法第15条により、行為の性質や態様などに照らして合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合には、無効となります。
そのため、まずは次のような対応を積み重ねることが重要です。
- 事実を確認する
- 本人から事情を聞く
- 必要な注意や指導をする
- その内容を記録する
- 就業規則などを確認する
それでも改善されない場合には、懲戒処分や退職勧奨、解雇などについて、個別の状況に応じて慎重に検討していくことになります。
ただし、重大な問題行動があった場合など、必ず何度も注意・指導を繰り返さなければならないという意味ではありません。行為の内容や事情に応じて、必要な対応を判断することが大切です。
解雇や懲戒処分を具体的に検討する段階では、自己判断で進めず、労働問題に詳しい専門家へ相談することも検討してください。
問題が起きる前の準備も大切
ここまで書いてきましたが、私が特に大切だと思うのは、問題が起きてからの対応だけではありません。
普段から、「うちの店では、どう働いてほしいのか」を従業員と共有しておくことです。
そしてもう一つ、大切なのが日々のコミュニケーションです。
普段から少しでも会話があれば、「最近ちょっと元気がないな」「何か困っているのかな」「前より遅刻が増えたな」と、小さな変化に気づけることがあります。
もちろん、コミュニケーションを取れば、すべての問題が防げるわけではありません。それでも、普段ほとんど話をしていない状態で、問題が起きたときだけ突然厳しく注意するより、日頃から声をかけ合える関係がある方が、本人も事情を話しやすくなります。
雇用契約書を整える。就業規則を確認する。遅刻や欠勤の連絡方法を決めておく。注意・指導したときには記録を残す。そして、普段からちゃんと話す。
こうした一つひとつは地味です。でも、人に関するトラブルが起きたときに、店と働く人の両方を守るための大切な土台になると、私は考えています。
人を大切にする。
だからこそ、「問題社員をどう辞めさせるか」だけではなく、「問題が起きる前に、どう関わっていくか」。そして、「問題が起きたときに、感情ではなく事実を見てどう向き合うか」。
そこから考えてみてもいいのではないでしょうか。
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