飲食店の労働条件通知書|採用時の条件確認と書類の整え方

働き方

こんにちは、nobuです。

皆様の会社や店舗では、アルバイトや社員を採用したときに

「この条件で働いてください」

という内容を、お店と本人できちんと確認できていますか?

労働条件通知書は、ただ渡せばいい書類ではありません。

給料はいくらか。何時から何時まで働くのか。どんな仕事をするのか。

働き始める前に、お店と従業員がお互いに条件を確認するための大切な書類です。

採用時の説明や書類が曖昧だと、「聞いていた話と違う」「この店、大丈夫かな」という不信感につながり、退職のきっかけにもなりかねません。

今回は、飲食店で人を雇うときに知っておきたい労働条件通知書の基本を、整理していきましょう。

労働条件通知書とは?

労働条件通知書は、従業員を雇うときに、こういった条件で働いてもらいますよ、と伝えるための書類です。

労働基準法では、従業員を雇う際に、賃金や労働時間などの労働条件を明示することが義務付けられています。

これは正社員だけではありません。

アルバイトやパートを雇う場合も必要です。

飲食店なら、「時給は1,200円」「週3日くらい」「シフトは相談して決めよう」

といった話をして、そのまま勤務を始めてもらうこともあるかもしれません。

でも、大切なのは「言った・言わない」の話ではありません。

「あなたには、この内容で働いてもらいます」

という条件を、お店と本人が最初にきちんと確認することです。

何を確認すればいい?

細かな決まりはありますが、まずは次のような内容をイメージすると分かりやすいと思います。

  • 契約期間
  • 働く場所
  • 仕事内容
  • 勤務時間
  • 休憩時間
  • 休日・休暇
  • 残業の有無
  • 時給や月給
  • 給料の締日・支払日
  • 退職に関するルール

有期契約の場合には、契約を更新する可能性があるのか、更新の判断をどうするのか、更新回数や通算契約期間に上限がある場合はその内容なども確認が必要です。

難しく考えすぎなくても、

「いつ・どこで・何をして・いくらで働くのか」

を曖昧にしないことが基本です。

書類だけ整っていても意味がない

ここは、この記事で特に伝えたいところです。

労務管理が整っているというのは、労働条件通知書を一枚作れば終わり、ということではありません。

例えば、

労働条件通知書には「休憩60分」と書いてある。

就業規則にも「休憩60分」と書いてある。

でも、実際には忙しくて休憩を取れていない。

これでは、書類だけ整っていても意味がありません。

大切なのは、

1.就業規則

2.雇用契約書・労働条件通知書(求人も含めて)

3.実際の働き方

この3つが、きちんとつながっていること。

書類にはこう書いてあるのに、実際はまったく違う。

そんな状態では、働く人からすれば「話が違う」と感じるのも当然で、冒頭で話したように会社や店舗に対しての不信につながり、早期退職のリスクを抱える可能性が出てきます。

反対に、採用時に説明された内容と、店のルール、実際の働き方がきちんと一致していれば、安心して働きやすくなります。

書類を作ることではなく、書類と実際の働き方を一致させること。

これは労務管理を整えるうえで、とても大切なポイントです。

就業規則がない小さなお店はどうする?

「うちは小さい店だから、就業規則は作っていない」

というお店もあると思います。

法律上、常時10人以上の従業員を使用する職場では、就業規則を作成して労働基準監督署へ届け出る必要があります。

ただ、就業規則を作る義務がない規模のお店でも、従業員を雇うときの労働条件の明示は必要です。

むしろ、お店全体のルールをまとめた就業規則がない場合ほど、個々の労働条件を曖昧にしないことが大切です。

「時給はいくらなのか」

「何時から何時まで働くのか」

「休みはどうするのか」

「どんな仕事をお願いするのか」

働き始める前に、きちんと確認しておきましょう。

労働条件通知書 兼 雇用契約書という方法もある

実務では、

「労働条件通知書 兼 雇用契約書」

として、一つの書類にまとめる方法もあります。

労働条件通知書は、お店側から従業員へ労働条件を明示するものです。

一方、雇用契約書には、お店と従業員がその条件について合意したことを確認する意味があります。

そのため、

「この条件で働いてもらいます」「この条件で働きます」

と双方で確認できる形にしておくと、採用時の条件をより分かりやすく残せます。

特にアルバイトを採用する機会の多い飲食店では、採用する人によって対応が変わらないよう、最初から流れを決めておくと管理もしやすくなります。

LINEやメールで送ってもいい?

一定の条件を満たせば、メールやLINEなどを使って労働条件を明示することもできます。

ただし、労働者本人が希望していることや、受け取った内容を本人が書面として出力できることなどの条件があります。

そのため、

「LINEで時給を送ったから大丈夫」

という意味ではありません。

必要な内容をまとめた労働条件通知書を作り、PDFなどで送付して、お店側でも保存しておく。

電子的に渡すのであれば、このようにあとから内容を確認できる形にしておくと分かりやすいかと思います。

古い労働条件通知書を使い続けていませんか?

労働条件を明示するときのルールは、近年変わっています。

2024年4月からは、働く場所や仕事内容について、雇い入れ直後だけではなく、将来変更される可能性がある範囲についても明示が必要になりました。

有期契約では、契約更新の上限がある場合、その内容などについても明示が必要です。

さらに、2026年10月1日からは、パート・有期雇用労働者を雇い入れる際の明示事項も追加されます。

パート・有期雇用労働者について、正社員との待遇の違いの内容や理由などについて、説明を求めることができる旨を明示する必要があります。

飲食店ではアルバイトやパートを雇うことも多いと思います。

昔作った労働条件通知書をコピーして使い続けている場合は、一度確認してみてください。

厚生労働省のフォーマットを確認してみよう

「じゃあ、実際にどんな書類を作ればいいの?」

という場合、一から作る必要はありません。

厚生労働省がモデル労働条件通知書を公開しています。

一般の従業員向けだけでなく、短時間労働者向けなどの様式もあり、2026年10月1日以降に使用する新しい様式もすでに公開されています。

まずは、自分のお店で現在使っている書類と見比べてみてください。

必要な項目が入っているか。

古い書式をそのまま使っていないか。

そして、書いてある内容と実際の働き方が合っているか。

この3つを確認するだけでも、見直すべきところが見えてくると思います。

厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」から、現在のモデル労働条件通知書を確認できますので、お時間ある際は必ずチェックを。

採用時の確認は、働く人の安心にもつながる

人を採用したあと、「せっかく採用したのに、すぐ辞めてしまった」という経験があるお店もあると思います。もちろん、退職の理由はさまざまです。

ただ、働き始めてから、「聞いていた勤務時間と違う」「思っていた仕事内容と違う」「休憩について何も聞いていなかった」

と分かれば、お店に対する不信感につながります。特に今はネットで簡単に調べられるので、働く側も会社やお店の労務管理を以前より高いレベルで見ています。

だからこそ、採用するときに、「あなたには、この条件で働いてもらいます」ときちんと説明し、本人にも確認してもらう。これは法律上必要だからというだけではなく、安心して働き始めてもらうためにも大切なことだと思います。

こういった小さな積み重ねが、従業員や会社・店舗、そして安定した経営への道につながる、と私は強く信じています。

自分のお店の労働条件通知書をチェックしてみよう

「今使っている労働条件通知書、大丈夫かな?」

という方に向けて、飲食店の労働条件通知書 簡易チェックリストを作りました。

採用時に確認しておきたい基本項目に加えて、

  • 契約期間が決まっている人の確認
  • 就業規則との関係
  • 書類と実際の働き方が合っているか
  • 2026年10月からの変更

をA4・1枚にまとめています。

難しい内容を確認するためのものではありません。

労働条件通知書が手元にある方ない方問わず、是非チェックしてみてください。

飲食店の労働条件通知書 簡易チェックリストを見る →

※このチェックリストは、法令違反の有無を判定するものではありません。

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