こんにちは、nobuです。
「せっかく採用したのに、また従業員が辞めてしまった」
飲食店で良く起こる大きな問題の一つですよね。人が辞めれば、また求人を出して、面接をして、仕事を教えなければなりません。残ったスタッフの負担も増え、経営者や店長自身が現場を埋めることも。
実際、飲食業は人材の出入りが多く、常に人手不足の業種です。だからこそ、採用することだけではなく、今いるスタッフが「ここで働きたい」と思える店をつくることも大切ではないでしょうか。
私自身、飲食業で店舗の立ち上げから現場・経営まで経験してきました。その経験と、現在携わっている労務の仕事の視点から、スタッフに長く働いてもらうために、飲食店の経営者や店長が見直したいことを考えてみます。
まず「当たり前のこと」ができているか
私が飲食店で働いていた頃、まず大切にしていたのは特別な接客技術ではありません(そもそも人に教えられるほどの接遇スキルは皆無です、今も)
最初に徹底していたのは、スタッフ同士で挨拶をすることです。
本当に基本的なことですが、経営者も店長も社員もアルバイトも関係なく挨拶をする。私は、良い店づくりはこういう小さなところから始まると思っています。
もし「別に挨拶しなくてもいい」と考える従業員がいるなら、私はこう伝えます。
お客様に見られていると思ってほしい。そして、ここは仕事をする場所です。
プライベートまで無理に挨拶をしなさい、とまでは言及しません。
ただ、仕事中は別です。スタッフ同士で無言ですれ違う店と、自然に「おはようございます」「お疲れさまです」と声を掛け合える店では、お客様が受ける印象も変わらないでしょうか。
何より、スタッフ同士で挨拶ができないのに、お客様にだけ気持ちのいい挨拶を求めるのは、少し違うと思っています。
実際、当時はお客様から「なんでここのスタッフは、みんなしっかりしているの?」と言っていただくことがありました。飲食店を経営している常連のお客様から、「どうやって教育しているの?」と聞かれたこともあります。
その時は、挨拶ですかね、と笑って答えていましたが。
何か特別な教育方法があったわけではありません。しっかり挨拶をする。お客様には丁寧に接する。困っているスタッフがいたら助ける。そんな当たり前のことを、店全体で積み重ねていました。
「辞めてほしくないから注意しない」になっていないか
スタッフには長く働いてもらいたい。だから優しく接したいし、できれば嫌われたくない。注意したことをきっかけに辞められてしまったら困る。経営者や店長であれば、そんな気持ちになることもあると思います。
でも、私はここで一度考えてほしいことがあります。
注意しないことは、本当にその人のためになるのでしょうか。
職場は、友達同士で集まっている仲良しこよしの憩いの場ではありません。お客様からお金をいただき、仕事としてサービスを提供する場所です。もちろん、感情的に怒鳴ったり、人格を否定したりは言語道断。絶対にやめてください。
一方で、仕事として改善してほしいことがあるなら、それを伝えることも経営者や店長の役割だと私は考えています。そのとき大切なのは、「何がダメだったか」だけではなく、「なぜ注意しているのか」まで伝えることです。
たとえば「挨拶しなさい」だけで終わるのではなく、「スタッフ同士で挨拶ができない店で、お客様に気持ちのいい挨拶ができるだろうか」と、なぜ必要なのかまで伝える。
注意や指導は、相手を責めるためではありません。その人と一緒に、より良い仕事をしながら良い店や会社作りのためのものだと思っています。
経営者や店長自身が「手本」になっているか
スタッフに「もっと丁寧に接客して」と言っている経営者や店長本人が、お客様に雑な対応をしていたらどうでしょう?「掃除をちゃんとして」と言いながら、自分は汚れているところを見ても何もしない。これでは、なかなか言葉は伝わりません。
だから私は、口だけの管理者にならないことを意識していました。自分がお客様に一番楽しそうに接する。自分からスタッフに挨拶する。忙しいときには自分が一番動く。まず自分がやってみせることです。
ちょっと私の話で恐縮ですが、お客様とのやり取りがうまくいったかどうかのバロメーターがありました。お客様から「一緒に写真を撮ってください」と言っていただけるかです。
もちろん、写真を撮ってもらうために接客していたわけではありません。でも、それくらいお客様との距離が縮まり、「この人と写真を撮りたい」と思ってもらえる接客ができているかを、自分なりの一つの目安にしていました。
お姉さん方からお願いされるのも嬉しかったですが、ムキムキのお兄さんからお願いされたときも、ちゃんと嬉しかったです。
そして、経営者や店長自身がすべての手本になれなくても、無理に全部を抱える必要はないと思います。店の中に接客や教育が得意で、他のスタッフの手本になれる人がいるなら、その人に役割を任せる方法もあります。
ただし、責任だけ増やして終わりにはしない。役割を任せるのであれば、手当などの処遇についても一緒に考えてくださいね。
「どんな店にしたいか」をスタッフと共有しているか
経営者や店長だけが「こんなお店にしたい」と思っていても、それがスタッフに伝わっていなければ、店全体はなかなか同じ方向には進みません。
難しい経営理念をつくる必要はないと思っています。
たとえば、「世界一のパンケーキ屋にしたい」それくらいでも十分です。
大切なのは、言葉をつくって終わることではありません。その店を本当に目指すのであれば、経営者や店長がそこに向かって行動する。商品の質を上げる。接客を良くする。店をきれいにする。スタッフが働きやすい環境をつくる。
そして、その思いが、お客様にも従業員にも伝わるように行動すること。
だから私は、従業員と一緒に店をつくることが大切だと思っています。どんな接客をしたいのか。お客様にどんな気持ちで帰ってもらいたいのか。スタッフ同士でどう接してほしいのか。経営者や店長が考えていることを、普段から伝えていくことが必要です。
そして何より大切なのは、言った本人が行動することです。
もし今、自分自身が手本になれる状態ではなく、店内にも手本になれるスタッフがいないのであれば、一つは経営者や店長自身がスキルを磨くこと。もう一つは、スタッフと一緒にスキルを磨いていくことだと思います。
経営者だから、店長だから、最初から何でもできなければいけないわけではありません。「自分もまだできていない。だから一緒に良くしていこう」と言える経営者や店長がいてもいいのではないでしょうか。
「辞めたあとに戻りたくなる店」になっているか
人には、それぞれ事情があります。進学、就職、引っ越し、家庭の事情、新しいことへの挑戦。どれだけ良い職場でも、人が辞めることを完全になくすことはできません。
だから私は、「絶対に辞めない店」を目指す必要はないと思っています。
それよりも、辞めたあとに「やっぱり、あの店は良かったな」と思ってもらえる店をつくることの方が大切です。
給料、労働時間、休憩などの労働条件をきちんと整える。スタッフ同士で挨拶ができる。必要なことはきちんと注意してもらえる。頑張っていることは見てもらえる。困ったときには話ができる。
そんな環境で働いた経験があれば、別の職場を経験したあとに「あの店、働きやすかったな」「もう一度働けるなら戻りたいな」と思ってもらえるかもしれません。
さらに、本当に良い職場だと思ってもらえていれば、こちらから「誰か紹介して」と頼まなくても、今働いているスタッフが友人や知人を紹介してくれることもあります。
私は、これも一つの大きなバロメーターだと思っています。自分の大切な友人に紹介したくない職場を、「良い職場」とはなかなか言えないからです。
どんな店にしたいのか。それを、まず経営者や店長が示す
スタッフに長く働いてもらうために、いろいろな方法はあると思います。
ただ、私が一番大切だと思うのは、「この店をどうしたいのか」という思いを、まず経営者や店長が持つことです。
難しい経営理念である必要はありません。「世界一のパンケーキ屋にしたい」「地域で一番気持ちのいい接客をする店にしたい」「スタッフが胸を張って友人を紹介できる店にしたい」。それくらい分かりやすい言葉でもいいと思います。
そして、その思いを言葉だけで終わらせない。
経営者や店長が、まず行動で示す。
挨拶を大切にしたいなら、自分から挨拶をする。丁寧な接客をしてほしいなら、自分が一番丁寧に接する。忙しいときに助け合う店にしたいなら、自分も現場に入り、一緒に動く。
その姿を従業員に見てもらい、そのうえで「なぜこうしているのか」「どんな店を一緒につくりたいのか」を伝えていく。
私は、思いを共有する → 経営者や店長が行動で示す → 従業員に伝える。この積み重ねが、とても大切だと思っています。
もちろん、給料や労働時間、休憩、休日などの労働条件を整えることも欠かせません。その土台があったうえで、店として目指す方向を皆で共有し、一緒につくっていく。
スタッフの定着に、魔法のような方法はないと思います。
人が辞めたときに「最近の若い人はすぐ辞める」「飲食業だから仕方ない」だけで終わらせるのではなく、「自分たちは、どんな店にしたいのか。そのために自分自身は行動できているか」と、一度振り返ってみる。
その積み重ねが、スタッフに「ここで働きたい」と思ってもらえる店につながっていくのではないでしょうか。
そしてそれは、単に「人を辞めさせないための対策」ではなく、
ヒトを大事にする店をつくること、そのものだと思っています。
皆様のおいしい料理が少しでも多くのお客様に届くよう、応援しています!


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