nobu「今日はお客さん少ないから、もう上がっていいよ!」
飲食店は、お客様の入りを正確に読むのが難しく、日々の人員配置や人件費に悩むことも多いですよね。思ったよりヒマな日に、「今日は早く帰ってもらおう」と判断したことがある店長や経営者の方はたくさんいらっしゃるかと。。。
ただ、従業員からすれば「本当は〇時まで働く予定だったけど、働かなかった分の給料はどうなるの?」と不安に感じるとの意見をよく耳にします。
実は、お店の都合で予定より早く帰らせた場合、「働いていないから、その時間の給料はゼロ」とは限らず、会社側の都合で従業員を休ませたときに、一定額以上の「休業手当」を支払うルールがあるんです。
今回は、飲食店でも起こりやすい「ヒマだから早く上がって」を例に、休業手当の仕組みと、お店側がどう対応すればよいのかをわかりやすく解説していきます。
休業手当とは?
労働基準法では、会社側に責任のある理由で従業員を休ませた場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないと決めています。
「休業」というと、丸1日会社やお店を休みにするイメージがあるかもしれませんが、丸1日の休業だけではなく、仕事の途中でお店の都合により早く帰らせた場合にも関係します。
会社側の理由で従業員を早退させた場合、その日に支払われる賃金が平均賃金の60%を下回れば、その差額以上を休業手当として支払う必要があります。
つまり、「今日はヒマだから早く帰って」という何気ない早上がりでも、休業手当の支払いが必要になる可能性があるということです。
「平均賃金」って何?
上記で説明した平均賃金ですが、簡単に言うと法律のルールで決められた1日分の給料の基準額と考えてください。
原則、休業する前の直近3か月にもらった給料の合計を、その3か月間のカレンダー上の日数で割って計算します。
直前3か月間の給料の合計 ÷ その3か月間の日数
ただし、時給制や日給制、入社して間もない従業員など、ケースによって計算方法が異なることがあります。そのため、「時給×1日の勤務時間」がそのまま平均賃金になるわけではありません。
平均賃金の詳しい計算方法まで説明すると少し複雑になるので、今回は割愛します。こちらは別の記事であらためて紹介できればと思います。
自分から早退するのと、お店から帰らされるのは違う
次に大切なのは、「自分の都合で帰るのか」「お店の都合で帰らされるのか」という違いです。
たとえば、「体調が悪いので、今日は早く帰らせてください」と自分から申し出て早退した場合、原則として働いていない時間の給与まで支払われるわけではないんです。
「今日はお客さんが少ないから帰って」「仕事がないから、今日はここまででいいよ」など、お店側の判断で予定より早く帰らせる場合は、休業手当の支払いが必要かどうかまで考える。
まずは、誰の都合による早上がりなのかを確認することが重要です。
早上がりした場合はいくら支払う?
実際に休業手当の計算を見てみましょう。今回の例では、1日分の給料の基準額(平均賃金)を7,000円とします。
休業手当を考える基準となる金額は、7,000円 × 60% = 4,200円です。
たとえば時給1,000円で3時間働いたあと、お店の都合で早上がりしてもらった場合、働いた分の給与は3,000円です。
3時間 × 1,000円 = 3,000円
上記のような場合、休業手当の基準となる4,200円には1,200円足らないので、休業手当として最低1,200円以上の支払いが必要となり、その日の給与は合計4,200円以上になります。もちろん、1,200円を超える休業手当を支払っても問題ありません。ちょっと難しい話ですが、労働基準法は労働条件の最低ラインを決めた法律で、その最低ライン以上の労働条件とすることは全く問題ないです。
ここで注意したいのは、「早く帰った時間×時給×60%」ではないということです。その日に支払われる給与が、平均賃金の60%に届いているかを確認し、届いていなければ不足分以上を休業手当として支払います。
良かったら下記の図も参照してみながら記事を読んでみてください。もし、不明点等あればお問い合わせいただいてもいいですよ。
月給制の従業員はどう考える?
ここまでの例は、時給制の従業員をイメージするとわかりやすい内容です。
では、月給制の従業員の場合はどうでしょうか。
結論からいうと、月給制だから休業手当が関係ないというわけではありません。
ただし、月給制の場合は、早上がりしても月給をそのまま支払うのか、不就労時間として給与から控除するのかなど、就業規則や賃金規程、給与の計算方法によって確認する内容が変わります。
そのため、
| 給与形態 | 早上がりしたときの確認 |
|---|---|
| 時給制・日給制 | その日に支払われる給与が平均賃金の60%に届いているか確認 |
| 月給制 | 早上がりによって月給が控除されるのか、就業規則や賃金規程を確認したうえで休業手当を確認 |
という整理で考えるとわかりやすいです。
月給制の具体的な給与控除や休業手当の計算まで入れると今回の記事のテーマから少し離れてしまうので、こちらも別の記事で詳しく整理したいと思います。
結局、どうやって対応すればいいの?
店長や経営者にとっては、ここが一番気になるところだと思います。
飲食店では、「今日は思ったよりお客さんが来ない」という日は当然あります。人件費を考えれば、今日は早く帰ってもらおうと判断したくなることもあるでしょう。
まず、「お客さんが少ない=すぐに帰ってもらう」と考えるのではなく、仕込みや清掃、在庫確認、発注準備など、その時間にできる仕事がないか確認してみてください。
それでも仕事がなく、お店側の判断で早く帰ってもらう場合は、その日の給与が平均賃金の60%を下回らないか確認し、足りなければ休業手当を支払うという判断をする。
ただし、「休業手当を払わなくて済む時間まで働いてもらう」という考え方ではなく、仕事があるなら働いてもらい、仕事がなく早上がりさせるなら必要な手当を支払うという考え方が大切です。
また、早上がりが頻繁に発生しているのであれば、曜日や時間帯ごとの売上を確認し、人員配置やシフトそのものを見直す必要があることも頭に入れておくといいかもしれませんね。
早上がりするときは、従業員にも説明しよう
早上がりをお願いするときは、給与の扱いについても説明しておきましょう。
「今日はヒマだから帰って」だけでは、従業員は「給料はどうなるんだろう」と不安になります。
たとえば、
「今日はお店の都合で早く上がってもらいます。給料については、休業手当が必要か確認してきちんと処理します」
と伝えるだけでも、受け取り方は変わります。
また、店長によって対応が変わらないように、誰が早上がりを判断するのか、休業手当を誰が確認するのか、給与担当へどう伝えるのかをあらかじめ決めておくと、対応のばらつきを防げます。
従業員にとっては、その日のシフトを前提に収入や生活を考えています。予定していた給与が突然減れば、生活にも影響します。法律どおりに処理することはもちろん、「なぜ早上がりなのか」「給料はどうなるのか」まできちんと説明する。こうした日々の対応も、従業員が安心して働けるお店づくりにつながると思います。
まとめ
会社都合の早上がりで押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 自分都合の早退と、お店都合の早上がりは違う
- お店側の都合で早く帰らせる場合は、休業手当の確認が必要
- 休業手当の基準は「平均賃金の60%以上」
- 一部だけ働いた場合は、その日の給与が平均賃金の60%に届いているか確認する
- 足りなければ、その差額以上を休業手当として支払う
- 「早く帰った時間×時給×60%」ではない
- 月給制でも、早上がり時の給与の扱いを確認する必要がある
飲食店では何気なく行われることもある「早上がり」。だからこそ、お店側も働く側もルールを知り、早上がりさせる場合は給与の扱いまできちんと確認することが大切です。
良い店づくり、頑張っていきましょうね!
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